農地の売却2「農地の転用と権利移動」

12月10日の記事(農地と区域区分)に続き、農地(田んぼ・畑)の売却の制限について説明します。農地の売却は農地法の第3条〜第5条の定めによって制限されています。各条文によって、制限の対象がことなる点を押さえておきましょう。

農地法第3条の制限

第3条が定めるのは、譲渡後も農地のまま利用する前提での取引の制限です。第3条〜第5条の中で最も厳しい制限が課されております。具体的には、第3条の許可に基づき農地を買うことができるのは、農業法人、農業の経験がある人、学校で農業を勉強した人などに限られます。一般の方は、第3条の許可を受けることはできません。

農地法第4条の制限

第4条では、現所有者が農地を他の地目(土地の用途や使用目的のこと)に変更することを制限しています。農地を売却しようとした場合、あらかじめ第4条の許可に基づいて地目変更できたら売却しやすくなります。現所有者が地目変更するには、どのような経緯で農地を取得したか、どのような目的で変更したいのかといったことが重要になります。例えば自宅を建てる目的で農地を取得したのに、家を建てないで駐車場にしたいというのでは約束と違いますよね。あえて補足しますが、ただ売却したいという理由で地目を変更することはできません。

農地法第5条の制限

第5条は地目変更を伴う権利移動について定めています。実際の取引では、農地を売却したいとき、第5条の許可を受けることが多いです。なぜなら、第4条の許可は現所有者の事情で申請するのに対し、第5条は買主が土地をどのように使いたいかによって申請できるからです。よくある事例としては、親から農地を相続した売主から、買主が農地を購入し、自宅を建てるというケースです。許可がおりない事例としては、買主が別荘をたてると言うケースです。自宅が別にあるなら、あえて農地を購入する理由がないと判断されてしまいます。

まとめ

農地を売却するには第3条から第5条のいずれかの許可を得る必要がありますので、どのような理由に基づいて申請するのか考える必要があります。ただし、前回の記事で説明したとおり、市街化区域内であれば、許可ではなく届出で済むため、売却は容易であることも押さえておきましょう。

参考条文

e-Gov法令検索『農地法』第3条~第5条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC0000000229