居抜き物件を借りるときに注意することは?

居抜きとは事業用のテナントの募集方法の1つです。居抜き物件を借りる場合、新借主は旧借主が退去した状態のまま引渡しを受けることになります。このとき誰と誰にどのような法律関係が生じるのでしょうか?事例をもとに解説します。

事例

Q.甲建物を借りていたラーメン屋Xが退去することになったので、貸主Yが居抜き物件としてテナント募集を行なったところ、ラーメン屋を経営したいZが新たに借りることとなった。
 
Q1.新借主Zには、誰とどのような契約関係が発生するか?
Q2.新借主Zは、どのような点に注意したら良いか?

A1.居抜き物件には2つの契約関係が生じる

新借主Zが居抜き物件を借りるとき、下表のとおり2つの契約関係が生じます。

契約の当事者
建物の賃貸借契約貸主新借主
造作の譲渡契約旧借主新借主

A2-1.建物の賃貸借契約における注意点

店舗を借りるなら必ず賃貸借契約を締結することになります。居抜き物件においては、特に原状回復義務(退去時にもとの状態に戻す義務)の内容や範囲に注意するようにしましょう。よく理解しないまま契約すると、退去時に思わぬ出費が生じかねません。

A2-2.造作の譲渡契約と注意点

居抜き物件において、ほとんどの場合、旧借主が施したあらゆる造作(例として壁紙、間仕切り、看板、設備等)が新借主に引き継がれます。引き継ぐのは、造作の所有権だけでなく、原状回復義務等の義務も引き継ぐことになります。取引後のトラブル防止のためには、口頭ではなく書面で契約を締結し、権利義務の内容について明記するようにしましょう。可能であれば、造作の写真などを添付して、譲渡の対象を明確にしましょう。

まとめ

居抜き物件においては、譲渡の内容と原状回復義務に注意しましょう。